低い声から高い声まで繋がった声を手に入れるには?
初めてレッスンにいらっしゃった生徒様から良くこんな質問・コメントを受けます。
「私はどこで声を切り替えたら良いですか?」
もしくは、
「この音から先は声をひっくりかえさないと歌えません…調子が良ければもう一音位上まで地声で歌えますが…」
これらの質問・コメントは
地声、裏声と二つに声を分けて発声すると言う考え
今まで二つの声に分けざるを得ない発声で歌っていた
あまり無いと思いますが普段よく聞く音楽が一つの声しか使わない物、もしくはそういう風に聞こえるようにCDが作られているのでそう感じてしまったのでしょう。
しかし、最初のレッスンでこういう質問・コメントをくれた生徒様は
こつこつレッスンを積み、上級者になってくるとこんな事を言うようになります。
「最近どの音を歌っていても一つの声で歌っているような感覚なんです!」
「低い声・高い声を歌っているという意識が無い位、楽々どの高さでも無意識のうちに歌えていたんです。」
「どのキーで歌っても歌いづらさを感じないんです。」
なぜこのように変化したのか不思議だとは思いませんか?!
ミックスボイス(Mixed Voice)
答えは地声裏声と分けるのではなく混ぜて発声するミックスボイスにあったのです!
練習を積み、ミックスボイスで歌う事に慣れていくと上級者の生徒様のようにストレスを感じること無く自分の持っている音域内で声を出す事が出来るようになります。
私自身もミックスボイスの習得により出したい音をスムーズに出せるようになった為
- スタミナを得る
- キーを選ばない
- 表現を自由自在に操りやすくなる
- バンド仲間の音を良く聞く
- ステージパフォーマンスに集中しやすくなる
- オーディエンスの事を考える
等、沢山の音楽的要素を考える余裕や自由を得ました。
ただこの「地声と裏声を混ぜて発声する」という言葉、ミックスボイスを教える現場では良く聞く一見わかりやすい言葉なので私も説明する時に使用する事もありますが、実際に声に出してみるとコツを掴みにくい言葉だと思う方もいらっしゃいますよね。
実際に初めてレッスンにきていただいた生徒様も実際の所ミックスボイスって何だかわからないから声で表しにくいとおっしゃる方が多いです。
私はミックスボイスとは主に甲状披裂筋(TA)と輪状甲状筋(CT)が一緒に作動する声の事だと考えております。
なんだか聞き慣れない難しい言葉があったかもしれません。
甲状披裂筋(TA)とは声帯を縮め厚みを作る筋肉でこの筋肉があまり使われないと息っぽい声になり、筋肉が使われると地声のような音色になります。
輪状甲状筋(CT)とは声帯をストレッチさせ薄くする筋肉で音程を作る為に必要な筋肉です。
地声のような音色を作る甲状披裂筋(TA)と音程を作る輪状甲状筋(CT)、主にこの2つの筋肉を適切に連動させる事がミックスボイスを確実に覚えていく為に必要であると考えております。